糸井
僕ら3人だけなら
普段からしゃべっていますけど、
今日は学生さんの前で話すということで、
年上の人たちが「こういうことをしました」という
思い出話をただ聞いてもらうのではなくて、
多少でも、学生のみなさんが
自分と照らし合わせて考えられるような、
持って帰れる話をできたらいいなと。
僕らがどうやって知恵や知識、行動、
さまざまなやり方を身につけてきたのか、
そんな話をしたいと思っています。
そうすると、素直に考えれば
タイトルは「私たちの学び方」になるんです。
でも、知識や知恵の中には、
学んだつもりはなくても
自然と自分のものになっていることがあります。
それはなんだろうと考えたら、
「盗むこと」じゃないかと。
先輩なのか先生なのか、はたまた親か、
師匠に値する人の背中をみて
自然と盗んだ技があると思うんですよね。
2科学者の態度に学ぶべきこと。 早野
あらためまして、
サイエンス部門の仕入れのプロとして
紹介されました、早野です。
僕のことをすこし話しますと、
長年、東京大学の理学部物理の教授をつとめまして
2017年4月に退官しました。
思えば教授時代というのはずっと
「学ぶ、盗む」を繰り返して、
血肉化された知識や知恵を基に、
新しいアイデアを発想していたように思います。
3本当に伝えたいことを芯に持って仕事をする。 河野
仕入れられたもう一方の河野です。
よろしくおねがいいたします。
僕はこれまで『婦人公論』や『中央公論』、
『考える人』など、
雑誌の編集者という仕事を長いことやってきました。
雑誌というのは間口が広くてですね、
決してひとりでは実現できない
大きな企画を形にするために、
ありとあらゆる人にお会いします。
そうして外の人たちから学んだり盗んだり、
力を借りながら仕事をしてきました。
これが、メーカーや研究機関などに勤めたら、
限られた人たちと深く付き合うことになります。
なんか、そういうのよりも、
好き勝手に自分の好奇心を広げながら、
おもしろいと思う人たちと仕事のできる環境が
性に合っていたんでしょうね。
そして、歳を重ねていくうちに、
蓄積してきた経験を次の世代に伝えたいと
思うようになりました。
なぜかというと、
いまの若い編集者を見ていると、
雑誌や本が売れなくなった出版状況を反映して
「編集」という仕事を
狭く考えているように感じるからです。
売れる本をつくらなきゃいけないから、
おもしろさよりも読者に受けそうなテーマを優先する。
もちろん本は売れてナンボのものですけれど、
売れればすべてOKというわけではありません。
もっと、自分が本当に知りたいことや、
本当に伝えたいことを芯に持って、
編集の仕事をしてほしい。
そこに知恵や工夫を発揮する余地、
たのしさや苦しさが
うんとつまっているからなんですね。
<中略>
早野
そうです。
ありがとうございます。
これは、万有引力を発見したアイザック・ニュートンが
知人から「なぜ、すばらしい発見をできたのですか?」
と聞かれて答えた比喩表現で、
「先人が積み重ねてきた知見の基に
新しい発見をしたのだ」という意味です。
4「ライフ」をキーに物事を考える。 たとえば、早野さんが研究している分野に関して
「◯◯はうそです」と本当っぽく書けば、
ニュースが注目されてお金になるかもしれない。
さらに周りの人のコメントを聞き出して、
たびたびニュースを書けばもっと稼げます。
早野
それは、勝ったことになるんですね。
糸井
飯のタネになる、
という意味では勝ったことになります。
いま、そういうような、
人が迷惑になることでも
自分が勝つためだったらやってしまえる、
簡単に誰かをどん底まで落とせてしまう
怖い世界に僕らはいます。
でも、そんな世界って嫌じゃないですか。
早野
嫌ですね。
糸井
そういうときに「ライフ」をキーに
ものごとを考えると、
勝負に勝っても、
同時に自分の命も失われていることに気づけるんです。
そういうふうに、
なにかを考えるときに照らし合わせる鏡として
「ライフ」という言葉をいつでも置くようになりました。
<中略>
将来に向けてアイデアを出すときは、
最新の情報から学ぼうとします。
でも、うしろを振り向いて、
古典に向き合って先人たちの知恵から
学んだり、盗んだり、仕入れたりすると
アイデアとともに、
なにかしらの勇気や自信が得られると思います。
風化せずに残ってきたものには、
それだけの価値があると思います。
8「お金」がないと学問の自由は担保されない。 原島
震災当時のことで言うと、
私は糸井さんのツイートが印象的でして。
メモしてきたので、読ませていただきますね。
「僕は自分が参考にする意見としては、
よりスキャンダラスでないほうを選びます。
より脅かしていないほうを選びます。
より正義を語らないほうを選びます。
より失礼でないほうを選びます。
そしてよりユーモアのあるほうを選びます」と。
#くぼけんです。
一つ前の記事に貼り付けた画像の元のサイトに面白い事が書いてあったのでピックアップしました。
載せてはいませんが、御三方とも年を重ねてからのの方が忙しくなったとの事です。
私も長く働けるよう日々工夫しないと!!
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